マフラーに寄せて

まだまだ朝晩冷えることがあるものの、何となく厳寒期が過ぎたように思われる。ここ数年さほど雪かきをやらなかったせいもあり、やらないのが当たり前のように感じてきた。今年は雪かきを何回かやりながら、これが普通だよなあと痛感した。

どうゆう風の吹き回しか、この冬はストーブの前で手をかざすとか、炬燵に潜り込むことが殆どなかった。私の部屋にはストーブすらない。そう言えば、今年度は一度も湯たんぽを使わなかった。なぜこんな修行僧みたいなことになったのだろう。水光熱費を節約する意識がないわけではないが、こんなことまでして頑張るつもりは毛頭ないし、意識高い系でもない。今年になって良い毛布を使い始めたので勢いが出たのかも知れない。だがまあ、まあこれにしても冬中やり過ごすほどのものとは思えない。これら以外に理由が浮かんでこないので、ただの成り行きに過ぎないと思う。年寄りの冷や水と言うなかれ、これはこれで結構楽しいのだ。

そのせいかどうか、いくつか生活習慣が変わった。なるべく湯が冷めないうちに、早めに風呂へ入るようになった。熱い湯でしっかり体を温めておくと存外長持ちする。夜更かしして本を読むこともなくなった。手を差し出せば、すっかり冷たくなってしまう。また厳寒期には肩や耳が冷えないよう、頭まですっぽり綿入れを被って寝る。これが存外温かい。どうかすると湯たんぽを入れたのと変わらない時間で体が温まる。これが私に合っているのか、たいそう寝つきがよい。

若い時の一時期を除き、私はマフラーをすることはなかった。去年だか一昨年だかに頂いていたチェックのマフラーを使い始めたのは正月あたりだったと思う。なかなか上等なものらしく、目が細かくて柔らかいものである。着けてみると格段に暖かくなる。首筋のみならず後ろに回した分で背中も温かい。綿入れと体の間に温かい空気層を作っているようだ。以来、朝起きるやいなや首に巻くようになった。仕事場へ出るときのみならず、室内でも着ける。実際に体が温まるので欠かせないものとなった。

私はバイクに乗る。冬場でも道路の除雪がしっかり出来ていて、温かい昼間に出かけることがある。この時には筒状になったネックウォーマーを使う。マフラーでも変わらないと思うが、これまでの習慣のなせる業である。この間同じような材質で、幅が二倍ほどあるものを見た。チェックの柄は同じで、色合いが違っていた。肩掛けとしてやデスクワークで膝の上に置くらしい。ただ首に巻くとなるとボリュームがあり過ぎて、髭の邪魔になりそうだ。良さそうに見えたが、私には使いこなせそうもない。

ここ二三日の温かさなら、そろそろマフラーは用済みかもしれない。                                               髭じいさん

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