灯油騒動

たかが灯油と言うなかれ。年老いた小市民にとって灯油の高騰は相当こたえる。十一月の末に寒くなり始め、十二月に入るあたりからストーブをたかざるを得ないことになった。暫くは去年の残りを使っていたが、これも尽きて例年通り配達をお願いした。

長年の付き合いなので世間話をしながら灯油をタンクへ入れてもらい、請求書を見て驚いた。高いなあと言いながら清算した。一人になって冷静になると、これでは高すぎる。おちおちストーブが使えない。配達料も入っての値段だから高いのであって、セルフサービスで買えばまあ例年並みのコストでやれるのではないか。たまたま郡上へ車で来ていた友人に頼むと快く引き受けてくれ、五町のガソリンスタンドへ行き家用を賄ってこれた。やっぱり相当節約ができることが分かった。

家はこれまでずっと配達をお願いしていたが、仕事場の灯油は数年前まで茶飲み友達に付き合ってもらい軽トラで買いに行ったものだ。浮いた金で喫茶店へ行き、コーヒーを飲んで長話をしていた。ところがなぜか近頃頼み難くなっている。とは言え一人で買いに行くとなれば、運転免許があっても車が無い。誰彼に頼むわけにもいかないし、スクーターではタンク一つが限界だから、何度も往復しなければならない。

そこで試しに近くに住む身内の者に頼むと、しぶしぶ行ってくれるという。週末にやはり五町のスタンドへ行って来た。その日は、リッター102円だった。高いには高いけれど、これならなんとか普通に使えそうな気がする。しかし今回だけにしてくれと云う。雪が降るようになると運転に自信がないし、タイミングよく行けるとも限らない。少々高くても頼むよりないというご意見。

また違う筋の話で、中坪のガソリンスタンドではリッター98円だったそうだ。どちらかと言えばこっちの方が近いぐらいだし、とことこスクーターで行くとすれば近いのが有難い。単価にしても距離にしても魅力を感じるものの場所がはっきりしない。あの辺りはトンネルが開通してから結構開発が進んだので、私が想像している農協のスタンドではないかもしれない。碁の仲間に中坪の仁がいるので今度尋ねてみよう。

というような灯油騒動を書いてみたが、ことの顛末を通して自分の置かれている立場が色々はっきりしてきたと思う。貧乏はそれほど楽しくないが、つらくもない。もう子供をしとねたのでそう金は要らないし、貧乏暇なしがボケ防止になっている気もする。

幸いと言うか何と言うか、今年は電気ストーブが手に入ったので仕事場へもって行き実際に使っている。今のところどうにか熱量が足りていそうだが、厳寒期に対応できるかどうか。なんとか灯油を入手して、例年通りやかんを載せる旧式の石油ストーブを使おうか思案中である。                                               髭じいさん

前の記事

郡上の諏訪神社

次の記事

しゃもじ