ヒタヒタと迫る

世は新型コロナの流行で苦しんでいる。新たな変異種であるオミクロン株は感染力が強くて容易ならざる事態である。割合重傷化する者が少ないと言っても、自分がどうなるのか分からない。まだ病院はしっかり機能しているのでその点は心強いが、医療関係者が罹ってしまえば一気に状況が変わる可能性がある。

田舎ならそれ程でもなかろうというのは早合点で、ここのところヒタヒタと吾が身に迫っている。郡上市でもここ数日は十人以上の感染が確認されている。先週、別件で身内が入院することになった。病院の方針で、余程の事情が無い限り見舞いもできないことになっている。新型コロナ対策である。病人にうつす訳にいかないのでやむを得ないと諦めている。

今週の火曜日だったか、行きつけにしている喫茶店のマスターから電話があり、なんでも客に感染者が出て店を開けていられなくなった。一週間ないし十日は開けられないので来てくれるなという連絡があった。翌日に行くつもりだったので出鼻をくじかれることになった。

毎週金曜日に集まる碁会も、今週と来週は休みに決まった。残念ながら、自分と友人達のことを思えばやむを得ない。主人も打ちたいだろうに気の毒なことだ。

ここら辺りまでは直接自分に関連すると言ってもどこかよそ事のように感じていた。身近な誰かが罹った訳ではないからだろう。ところが二三日前、一緒に区の役員をやっている仁からショッキングな電話があった。

何でも職場で感染者が出たらしく、濃厚接触者に判定されたと言う。少なくとも五日間は自宅で待機するしかない。一歩も外へ出られないらしく、買い物は出来るのか尋ねたら、無論ダメだそう。年度末になっている区内の仕事は気になるけれども、一時ストップするしかない。とうとう身近な人物まで迫ってきているというのが実感だ。

幸い、今週退院できた身内と共にまた年寄りの二人暮らしである。基礎疾患のある高齢者ということで楽観はしていない。市から高齢者は三回目のワクチンをできるだけ早く打ってほしいという要請があった。相方はよんどころない事情があり同じ月の後半に変えてもらえたので、それはそれで良かった。

私にはまだ通知が来ていない。二回目が遅かったからかもしれない。例え罹っても軽くて済むかもしれないが、身内や友人をはじめ周りの人達に不自由な思いをさせることになるので、今回は通知が来て日時が定まれば、あれこれ考えず素直にワクチンを接種するつもりである。                                               髭じいさん

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