梅ジャム

若い時から甘いものが好きだった。途中酒に浸るようになって避ける時期があったものの、飲まなくなるとトンボ返りした。美味しいものが溢れているご時世、今回は私にとってのジャムを取り上げてみようと思う。

ジャムと言ってもいろいろあり過ぎて困るほどだが、果物や果汁に砂糖を加えじっくり煮てゼリー状にしたものぐらいのイメージを持っている。

あなたはぜんざいやアンパンなどで、つぶ餡がよろしいか、それともこし餡がよろしいか。私ほど年を取るとこんな事にも歴史がある。出身地によって偏りがあるのかどうか知らないが、若い時にはこし餡一択だった。羊羹だの上用饅頭だのは口当たりの滑らかかなこし餡のイメージが強い。

ところがぜんざいか汁粉となると、どちらも食べていたように思う。汁粉の滑らかさやのど越しのよさから、勝手にぜんざいより品があると考えていた。とは言え、小豆の殻が入ったぜんざいは豆の風味が強く、捨てがたいなどと生意気なことを考えていたこともある。ただ私にとってつぶ餡の入った「きんつば」は滅多に口に入らない高級品だった。薄い皮に包まれているだけで丸々餡子を食べられるわけだから、ちびちび食べていたように思う。

こちらへ来て、すっかり好みが変わってしまったかも知れない。学生時代は殻を取った白っぽいソバで薄めの出汁にちょいと浸して食べるのが好みだった。これでこそほのかな香りを楽しめると思っていた。ところが田舎に住んでみると、ソバ殻の混じったグレーのソバが一層香りがはっきりして旨いように感じるようになった。

私が食べてきた味噌はどれも漉してある綺麗な練りみそだった。京都では麦の入った味噌も食べたが甘すぎた。やはり豆皮の入ったものが多い郡上みそが風味がよいと感じる。ことほど左様に、私はこちらへ来てからつぶ餡にしろソバにしろ味噌にしろ皮と一緒に食べることを好むようになった。

今年は秋から地元にある高校の食品科が作っているジャムを食べている。原材料を見るとイチゴと砂糖だけ、蜜柑と砂糖だけとあっていずれも余計なものが一切入っていない本物である。ママレードには蜜柑の皮が綺麗に切られて入っているし、イチゴのジャムにはイチゴの塊がある。毎朝パンに塗って美味しく食べている。

ところが梅ジャムには皮が一切入っていない。皮を綺麗に漉したのか、果汁を絞ってから砂糖で煮たのかは分からないが、透明感のある柔らかめのゼリーとなっており、確かに高級感はある。

もともと酸味の強い果物が好きなので、スモモだとか柚や梅はなるだけ手元に置いておきたいジャムである。敢えて希望を述べるとすれば、どんな形でもよいから梅の皮を入れたものも作って欲しい。                                               髭じいさん

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