花点描

昔はそれほどでなかったのに、ゴールが近いせいか何にせよ愛おしい。花にしても身近になった気がする。

我が家の裏庭で紫陽花が威張っている。株が大きくなりすぎて、洗濯ものを干す場所まで枝を伸ばしてくる。もはや二株と言ってよいかも知れない。思い切って冬場に剪定しておいたのが十分ではなかった。伸ばし放題の柘植と共に、鎌でざばざば枝を落とす。私の場合、ただ乱暴に刈っているにすぎず、枝ぶりがどうだとか花芽がどうとかを気にすることはない。

我が家の紫陽花は派手な西洋アジサイではなく、ガクアジサイという種類だと思う。それでも調子がよいのか、今シーズンは大きめの花が四十とか五十ほどもついて華やかだ。色は濃い目の紫で、一面に咲いている。

落ちついて見ると、南天も花が咲いている。南天は縁起が良いとして好まれ、種類も多いと聞いている。我が家では白い花で、ミツバチが飛び回っている。

一年の半分が過ぎたということで、上半期の花を思い浮かべて、一部を共有していただくことにした。

雪が解けたのは三月初旬あたり。雪に押さえつけられてぺしゃんこなっていた草が立ち始めるころ、まずユキノシタが現れ、スイセンが伸び始める。まだこの頃は花粉もそれ程でなかったからか、素直に雪解けを喜んだ。

我が家のスイセンは背も低いし花も大きくならない。なんだが雪に苛められていじけているように見え、気高さを感じない。同時に名も知らぬ雑草が繁茂し始める。ここら辺りでしっかり草抜きしておけば状況が変わるのに、手を抜くので伸び放題である。

野生化したチュ-リップが弱々しく細い茎をのばし始める。球根を大きくして保管するなどもせず、当然ながら年々数も減り貧弱なものしか育たない。前後は覚えていないが、ウルイだかが二三カ所で咲く。それほど美しいとは思えない。地ばえのようになっており。見慣れて当たり前になっているところは良い。

四月末ごろになるとドウダンやツツジ、サツキの出番である。ドウダンは白い花がびっしり咲いて勢いがある。上手に剪定してやれば見栄えもよくなるだろうに、ただ風通しを良くするために枝やひこ生えを払っているだけで、まあサンバラ頭みたいなものだ。

この頃、餅花が気になる。我が家で作ったことはない。余程田舎へ行く外は目にすることが少なくなった。縁起の良い枝を用意し、細かに切った紅と白の餅を飾りにする。正月明けから二月は花の少ない時期なので、部屋全体が華やかになる。中々良いものだが、餅をつく自体がまれになってきたし、冬でもハウスで花が作られる時代だから流行らなくなったのかもしれない。                                               髭じいさん

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