田舎にいると、何かと餅に縁がある。正月用に用意した餅に、いただいたものを足すと、年寄り二人が食う分を遥かに越えている。この冬は、カビに気をつけさえすれば、大分餅が食えそうである。
私は、出身が関西であり、餅は丸いと思っていた。ところが、郡上では四角い。
妻も、私と同郷で、同じように戸惑っている。郷に入らば郷に従えからか、ここで長年暮らしたからか、そろそろ私は慣れてきた。しかし彼女は、今でも丸餅に拘っている。鏡餅は丸い。神社に供える餅も、餅まきに使うのも丸いという具合だ。
今、我が家には白餅だけでなく、草餅と栃餅があり、全て四角い。栃餅は、郡上に引っ越して始めて知ったもので、渋みを抜いた栃が入っている。
さて、餅をどう食べようか。
私は雑煮が好きである。雑煮でも色々な流儀があろう。私は、澄まし汁に、焼かないで餅を入れるのが好みである。この方式でも二通り考えられる。別に餅を温めて椀に入れ汁を注ぐのもあるが、面倒である。我が家では、鍋に直接餅を入れて煮る。これで大分食えそうだ。
焼くとすれば、砂糖醤油につけて食う。海苔があれば、なお良い。近頃、溶けるタイプのチーズを載せて食ってみたが、これもいける。若者はさすがに凝っている。チーズやソーセージを載せてトマトソースをかけ、ピザのように食べる子もいるらしい。栃餅はよく焼いて、きな粉をつけるのもよいし、砂糖だけで食っても香ばしくて中々うまい。今のところ、草餅はぜんざいに入れて食べている。
都会生活では餅に縁が薄いだろう。しかし、工夫すればなかなか良い食材である。レンジを使えば色々な食べ方ができるし、淡白な味だから、何にせよ自分流の味付けができる。
この冬は、喉を詰まらせないようにして、餅づくしで暮らすとするか。

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