二点間の最短距離

突然こんなテーマが出てきた。私が適任かどうかは大いに疑問があるとしても、話せば長くなるので、さっそく本題に入ろう。
確かプラトンだったか、この世に真の三角形は存在しないと書いているのを読んだ記憶がある。実際のところ、三角形を構成する直線があると考えるのは錯覚に過ぎないように思う。
仮に「絶対空間」というようなものがあるとすれば、二点間の最短距離は存在するような気がする。だがこれは、厳密には人間の脳の中でしかありえない。これは定点が存在することを前提にしているからである。
実際この世に定点などあるのだろうか。時間という次元を除けば絶対空間が得られるわけではない。時間はいわば空間での移動に過ぎない。地球が一日に一回自転し、一年で一回太陽の周りを公転する。太陽にしても、宇宙が拡大局面にあるとすれば、同じ位置を占める「恒星」ではない。ビッグバンにしても、実際あったとして、一回きりだったと証明されているのだろうか。このように私は定点を求めることは現状不可能であると考えている。
机の上にある鉛筆は、これを動かさなければ、幾ら時間が経過しても同じ場所にあるように見える。これを眺める私も動かないとすれば、いつまでも同じ関係にあるではないか。だがこれにしても鉛筆自身が自重で地球に接している限り、地球の動きに連動しており、たいそう複雑な動きをしているはずだ。私もこれとほぼ同じ動きをしているから、動かないように見えるに過ぎない。
光は一定の速さで直進するらしい。とすれば、光上の任意の二点は最短距離の可能性がある。だが、これも推論にすぎない。これを実証する空間が存在するとは思えないからである。
まあ私は太陽が東から昇って、西に沈む世界観で楽しく生きているがね。