北朝鮮の核実験

今年の七月に突然七発のミサイルを発射した北朝鮮は、十月になって同国外務省がこれまた唐突に核実験を行うという声明を出し、数日後実行した模様である。
核実験の目的がどこにあるのかは諸説あり、はっきりしないが、現政権の存亡をかけた強行であることは間違いあるまい。
これに対し国連安保理事会は、深刻な懸念を表明した上で、核不拡散条約脱退等を遺憾とし、六者協議への復帰と核計画放棄を約束した共同声明(05年9月19日)の遵守を求める議長声明を出せた。実験を強行した場合、実効措置を含む国連憲章7条の適用が既に視野に入っていた。
核実験までの朝鮮半島をめぐる情勢は、七月の「非難決議」の場合とほぼ同じ構図であり、議長声明に関して中国・ロシアが北朝鮮への歯止めとして議長声明を支持したことが少し異なるぐらいか。
十月に実験強行となり、安保理で臨検による海上封鎖は中国・ロシアの牽制により何とか避けられたが、7条41項の適用があり経済制裁がなされることになった。
経済封鎖は、中国及び韓国の協力がなければ機能しない。中国としても自らの安全保障に加え、常任理事国としての責任から、贅沢品の検査、一部送金の停止をしたようである。これにより、少なくとも中国と北朝鮮の蜜月時代が不安定化したと言える。
ロシアは言うに及ばず、既に中国は核兵器保有国であり、日本近海には米軍の戦力が集結して核兵器が装備されている。この上、北朝鮮が核兵器を持つとなれば、東北アジアで「核」を持たないのは日本と韓国のみになる。
アメリカの主張によれば、北朝鮮政府が主導して偽ドルを作り、麻薬を密貿易しているという。日本や韓国などで拉致事件を頻発させたことを思えば、もはや近代国家としての体裁をなしていない。中国にしても、これ以上北朝鮮の現政権を支える必然性が無くなりつつある。
誇り高い高句麗は隋の大軍を追い払い、隋朝を倒すきっかけとなった。今こそ誇りを取り戻し、平和裏に政権が交代されることを願わざるを得ない。