人口の減少

この間何気なく新聞を読んでいると、日本の人口が二万人ほどだったか減少したという。何故かはっきりしないが、何か時代が変わったような気がした。
私はいわゆる「団塊の世代」に近い。従って、同世代の人間が最も多い部類に入る。小学校から中学校にかけては、クラスの人数も多かった。当時、九州の炭鉱が閉山となり、関西に移住した人も多く、耳慣れない言葉やアクセントを身近に聞いてきた。年賀状のやり取りだけだが、今でも付き合っている人もいる。高校や大学でも、なんと言うべきか、「活気」らしきものがあった気がする。人口の減少には、祭りが終った後のような、一抹の寂しさを感じざるを得ない。
とは言っても、私が人口増加を望んでいるわけではない。それなりに社会が豊かになり、落ち着いてきたという意味もあろうし、大急ぎだった明治以後の近代化が一応終了したという印象もある。
江戸時代は、それほど人口の増減がなくほぼ三千万強だったということを何かで読んだことがある。現在は一億二千万強だから、明治初年から「順調」にほぼ四倍に増えたことになる。これをどう評価するのかは、それぞれだろう。
少子高齢化が叫ばれて久しい。今私の住む郡上でも人口の減少に歯止めがかからず、老齢化率もどんどん高くなっている。単なる過疎の話ではなく、国家の水準でもとうとう数字に表れたというのが実感である。
ある意味では、バブルがはじけ、夢が覚めてみれば国が傾いていたということか。
今後、人口がどうなるか分からない。当分は減少傾向が続くと思われるが、国家の巨大な財政赤字を解決する方向が見えてくれば、国民が自信を取り戻し、また増加に転ずるかもしれない。

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