「バックします、ご注意下さい」

トラックなど大型車がバックする際に、警戒音と共にアナウンスする文句が本日のテーマである。単に警戒音だけを出す車もあるようだ。こんな些細なことを取り上げるのもどうかなと思ったが、現代の風潮を現しているかもしれず、思い直して書くことにした。電車などの車内アナウンスもこれと同じ発想かもしれない。
大型車が大きな力を持っていることは間違いない。運転手がバックの時にも気をつけていることは間違いなかろうが、なにせ大型車であるから、身長の低い子供や年寄りが陰になってしまうかもしれない。これから、アナウンスをして注意を喚起しているのであろう。
だとしても、私には疑問がある。大型車がどうしてもバックをしなければならない場合を想定してみよう。小型車であれ、普通車であれ、人にあてないようバックするのは当然である。さらに背後の見にくい大型車の運転手なら、前進にも増して、注意してバックしなければならないのはまた当然である。
子供のみならず大人でも、例えスピードを落としたバックであれ大型車に当てられたり轢かれたりすれば、ただちに大事故につながる。構造上の改善が望まれるところである。
なのに、背後にいる人へ注意しろとは理屈に合っているとは思えない。注意していても、突然であれば、避けようがないではないか。人の気配があれば、直ちにトラックは止まらなければならない。それでもバックするというのか。聞きようによっては、まるっきり傍若無人である。また、運転手がこのアナウンスを信用してしまい少しでも気を緩めるのであれば、逆効果にもなりかねない。
電車の話は毎日のことであるから、うるさいと感じている人もいるだろう。こまごましたことは駅のポスターなどで訴えれば済むことであるし、またそれぞれの家庭の躾に関わると思われることもあり、電車という公共の場所でアナウンスする事とは思えない内容も多いのである。
鉄道会社が、トラブルの責任を逃れるために、細かなことまで乗客に説明しているにすぎないように思う。乗り換え情報など必要なものを除き、アナウンスは最小限にとどめて、静かにしてもらいたい。携帯などの件については、断固とした態度で乗客に対すれば、かえって信頼を得られるだろう。
私には、いずれの場合も、子供じみた責任逃れにしか聞こえないのである。
大型車の警戒音とアナウンスは、内容を改善すれば、それなりに意味があるかもしれない。トラックの場合、運転手自身が身を引き締めて運転していることを示すものがよかろう。「注意してバックしています、お気をつけ下さい」あたりでどうか。