生きている実感 -海外編-

人は個人として生き物であるから、生老病死すべての局面で生きている実感を得ているに違いない。また人は人にとって友人であり、家族であり、市民であり、国民であり、国際人でもある。こういった観点からすれば、どの属性にしても、それぞれに生きている実感を持つだろう。
これほど広い定義をしながら、今回は、私が最近のニュースで感じたことを記すのみである。
1 イギリスのBBCが、広島と長崎で二度原爆に会った人を笑い話に取り上げた。同国が原爆を保有しており、自分たちは原爆を投下する側であって、被爆はしないという前提に立っているだろう。
また、サッカーのプレミアリーグで猿のまねをしてアジア系の選手をからかうようなことがあったらしい。これもまた、古くて新しい、人種差別といってよい。イギリスがイラクなどへ相当数の兵を派遣するなど、社会が疲弊し、モラルが低下しているからかもしれない。
これには、ある韓国選手が先のアジアカップで日本チームに対し同じしぐさをしたというオチがある。ここで取り上げるほどのテーマとも思えないが、注目されている試合での行為であるから、一応その出所を考えてみる。本人の気持ちとしては、イギリスでやられたことを日本にやり返しただけかもしれない。ナショナリズムをかき立てることが目的であるなら、スポーツ選手として最大限の自己主張をしたことになる。
2 日本の調査捕鯨に対し、シーシェパードとかいう過激な団体が妨害をし、スクリュウにロープをからませるなど船団に危険な行為をしている。これでは海賊と変わらない。特に、ここ数年は目にあまる。白人系の人物が多いようなので、これまたイギリスの人種差別主義者の行為と関連するかもしれない。同団体の船籍はオーストラリアにあるようなので、同国には非合法の行為をやめさせる義務がある。船籍を抹消するよう強く要求しなければなるまい。
日本国政府は、長きにわたる危険行為に対し、自衛権の行使につき検討に入る必要がある。今年度は船員の安全のため調査捕鯨を中止するようだが、腰が引けてはいけない。
3 北方四島に関し、ロシアが同島へ首脳級を訪問させ、占拠を更に既成化しようとしている。また韓国などへ投資を募り、国際関係を加えて、占有をより複雑なものにするねらいだろう。ロシア領土として、実効支配を強調し、さらに実体化しようと図っている。
4 中国が、空母の建造など、海軍力を強化している。尖閣諸島のみならず、フィリピンやベトナムとの領土問題を力で抑えようとしているように見える。海軍力のみならず、急速な経済力の発展を背景にして、三軍の近代化を進めている。
中国が日の出の勢いで国際舞台に登場し、ロシアがこの波にのっている印象がある。両国が大戦の戦勝国として既得権益を守り、軍事力によって、これをさらに拡大しようとしているのであればゆゆしきことである。

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