素数

素数と聞くと、すっかり忘れた人もいるだろうし、覚えていても面倒くさそうと思う人もいるだろう。また、何か高級な話なのかなと感じる人もいるかもしれない。私のことだから、ありふれた話である。
素数はその数と1でしか割り切れない数ということになっている。例えば6は1と6以外に、2でも3でも割り切れるので素数ではない。一桁の素数は2、3、5、7である。
通常、中学校3年で因数分解を習う前段として素数を扱う。ある子が試験に出た問題が分からなかったので私に尋ねてきた。「770÷nの商が素数となる整数nの個数を求めよ」というものである。
私は即座に、770=2×5×7×11と素因数に分解してみた。さてこれからどうするか。何故かまず割り切れる数が浮かんだ。
n=2、5、7、11の四通り、2×5、2×7、2×11、5×7、5×11、7×11の六通り、2×5×7、2×5×11、2×7×11、5×7×11の四通りで合計十四通り。
これでは割り切れる数を全て求めたに過ぎない。届いていないと感じていた。夜中目が覚めた時、商に2が含まれている場合、偶数になって素数ではないと気がついた。馬鹿だねえ。
とすると商に2が残る、n=5、7、11の三通り、5×7、5×11、7×11の三通り、5×7×11の一通りの計七通りがだめなので、14-7=7の七通りかなと考えてまた眠りについた。
朝一で、これもまた何だか変だと感じた。例えば、770÷2=5×7×11で確かに商に2はなく、すべて素数の積になっている。が、はたと素数と素数の積は素数ではないことに気がついた。馬鹿だねえ。
ここでやっと、商が素数になるには、その素数以外をすべて割ってしまわなければならないことに落ち着いた。素数は2、5、7、11である。
つまり、2を残すならn=5×7×11=385で、5を残すなら2×7×11=154で、7を残すなら2×5×11=110で、11を残すなら2×5×7=70の四通りで割ればよいのではないか。
この場合、770÷385=2、770÷154=5、770÷110=7、770÷70=11で、商がそれぞれ2、5、7、11の素数になる。恐らくこの四つが正解なのだ。
考え続けていると夜中にふと解けたりすることもあるが、今回は肩透かしを食ってしまった。ぐっすり眠る方がよさそうだ。朝一に解けたのは単なる偶然ではなく、寝覚めが良かったからかもしれない。
私が愚かであることは言うまでもないが、道中を楽しんでいることを知っていただきたいと思い書く気になった。老いてなお、人生はこんなことでも楽しめる。

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