文明の力

歴史というものを「文明」を手がかりに理解する方法は19世紀になってようやく成立した。それが形となって著されたのはドイツ人で近代歴史学の父といわれるレオポルド・フォン・ランケによる「世界史」である。社会を理解するということは時間と空間においてであり、時間はすなわち「歴史」である。そして「歴史」は「文明」の流れであると言えよう。では「文明」とは何であるのか。辞典を引くと、「精神的、物質的に生活が豊かである状態」とか、「文化的まとまりを歴史的に保ちつづけ、成熟した社会の状態」などと、明確な定義とは程遠い。経済史学者の川勝平太氏によれば、「文明とは憧れられる文化」であると言っている。そして、文化の力は本来的に押し付けるものでなく、引き付けるものであるとするならば、ある社会において「力」があるということは、魅力的な文化が在るということであろう。これは「会社」であろうと「個人」であろうと同じ事であると言えるのではないだろうか。

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